「開け……」

2008.4 Painter9.5
「リィナ、頼むよ」
 仲間に請われ、リィナは扉の前に進み出た。
 魔導士のマントを跳ね上げる。
 唄うような呪文の詠唱――重い鉄の扉がズズ、とわずかに動く。
「どうだ?」
「……少し、時間がかかる。その間、奴らを食い止めてくれ」
 背後の森に鋭い目を向けながら、リィナが言う。
「何っ!」
 森の中から飛び出してきた怪物を、戦士は振り返りざまに抜き討つ。夕闇の森に目を向けると、赤く光る怪物の目、目、目。うんざりするほどの数だ。
 仲間のエルフが慌てて弓に矢をつがえ、ドワーフはゆっくりと戦斧を構える。
「なるべく早くしてくれよ……これだけ数がいると、あまり、持ちそうにない」
 戦士が、ギリリと歯を食いしばった。

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